求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
上原課長がフォローしているが、付きっきりというわけにはいかない。

「最近様子がおかしいのと、何か関係があるんでしょうか?」

「分からない。でも、週明けにそれとなく聞いてみるよ。いまのままじゃぁ、高木君の立場が悪くなる一方だし……」

上原課長は何かを思案するような面持ちで、ブランデーを口に含んだ。

彼の上司である部長は気分屋で、普段から上原課長の苦労が目に見えて分かる。
それに加え、最近では部下達がギスギスし出した。

私が彼の立場だったら、ストレスで胃薬が手放せないだろう。
だが彼は、大変さを決して顔に出さない。

部下が仕事でミスをしても、頭ごなしに叱責することもない。

問題となるミスが、なぜ生じたのか?

部下と一緒に過程を掘り下げて考えてくれる。そこまで親身になってくれる上司は、私は彼の他に知らない。

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