求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
ついさっき、電話をしていた高木さんの横顔が脳裏に浮かび、熱いものが込み上げる。
不意に、押しつぶされそうになった胸を、温めてくれた言葉が鼓膜の奥で蘇った。


『誰かに頼るって悪いことじゃないよ。必要とされてるって思うと、嬉しくない?』


そうだよ。本当に、そうだっ……。

突き上げる感情そのままに、破る勢いでドアを開く。

ノックもなくドアを開けた私に、上原課長は驚きの表情を見せたが、咎めたりはしない。この後の私の行動を見抜いたように、微かな笑みまで浮かべている。

さすが、出来る上司! さすが、私が大好きな人!

上原課長の厚意に甘え、目をギョッとさせる高木さんの前にズカズカと歩み寄る。

「高木さん。私って、そんなに仕事が出来ないですか!?」

「なっ、なんだよ。突然……」


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