求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
社内をぐるっと見渡すと、坪井係長より上の役職者は不在だと分かった。

それじゃぁ、山瀬君の援護に行きますか!

カツッとローヒールの踵を鳴らしてふたりに歩み寄った、その時。山瀬君がとんでもない爆弾を投下した。

「ほらー、疲れた顔してー」

彼はへらっと笑うも、フロアの空気は一瞬で凍てつく。

確かにそう見えるけどストレートに言ったらダメだって!

『顔が疲れてる』は、二十代後半以降の女性には、絶対禁止のNGワードだ。
今年、二十七歳の私にも使って欲しくない。

なぜなら遠回しに『老けてる』って言われてるようで傷つくから。
そんなつもりはないって男達は笑うだろう。でも、大人の女というのは年を重ねるごとに扱い辛く……いや、デリケートになる。

山瀬君。君は若いから知らないだろうが、女って生き物は繊細なのよ。多分、坪井係長だって同じはず……。


< 39 / 165 >

この作品をシェア

pagetop