求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~


綺麗な半月が空に浮かぶ夜。
上原家で食卓を囲んでいると、「あきくん、ほらっ」と対面に座る凜ちゃんが上原課長を見やる。

煮込みハンバーグを食べつつ、彼女が催促のような態度を取るのは、これで三度目だ。

「凜ちゃん、どうかした?」

食事中、ふたりからチラチラと視線を注がれ、私から話を振ってみる。

上原課長が意を決したように、声色を真剣なものにした。


「中野さん。ここに住まない?」

「へっ……」
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