マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
第七章 夫の役目

《一》





十一月一日。マラソンと競歩の札幌開催がJOCにより決定された。

それを受け、【TohmaBeer-Hopping】の札幌、及び仙台、名古屋、大阪、福岡での開催がトップダウンで決定した。

元々ほぼ首都圏だけでの開催のつもりで準備を進めてきて、つい最近やっとチーム全体での顔合わせと概要説明が済んだところに、地方での開催追加を何とか二回目の会議に間に合わせるため、急ピッチで準備を進めなければならなくなった私たちは大忙しだった。

高柳さんから聞いていてから心づもりは出来ていたつもりだったが、予想以上の忙しさに目が回りそうになる。

地方開催決定からすぐに、本部チームの私たちは準備に追われた。
大澤さんも出来るだけ残ろうとしてくれたけれど、契約社員の彼女に無理はさせられず、私と幾見君は連日遅くまで頑張った。終電に駆け込んだのも一度や二度ではない。

二週間近く休日返上で働きまくったおかげで何とか目処がつき、明日は久しぶりに平和な休日を迎えるられそうだ。
それもこれも、高柳さんが実働部員として実務を請け負ってくれたおかげだろう。彼の仕事ぶりは、想像以上だ。鬼のように早い。というか、色々な意味で鬼そのものだった。

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