マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「忘れていたのか?」

「……いえ、忘れてたというよりも、完全に認識外でした……」

「そうなのか?」

「はい……」

小さくうなずいた後、はっと顔を上げて俺を見た。

「素敵なホワイトデー、ありがとうございます。今日一日とっても楽しかったです。あとハンバーグも!最近ずっと、滉太さんの作ったハンバーグが食べたいと思っていたので」

「こんなもので雪華は満足なのか?」

「こんなものって……私もバレンタインは手作りチョコでしたし……十分すぎるくらいですよ?本当に今日一日、楽しかったです。夢みたいでした」

昼間のことを思い出したのか、彼女はうっとりとした表情になる。

「いや、普通のデートだっただろ?」

「普通のデート……あまりしたことがなかったので……」

彼女の言葉が胸に響く。付き合い始めてから何かと忙しくて、あまりちゃんとしたデートに連れて行ってあげられてない。

「すまない……あまり連れ出してやれなくて」

「や、あの…そういうつもりで言ったわけでは……」

「いや、俺ももっと雪華と色々なところに行ってみたい。次はどこに行こうか、水族館は行ったことはあるのか?」

「いえ!ずっと行ってなくて……行ってみたいです!」

「そうか。じゃあ次は水族館デートだな。その時には今日着てこなかった服を着てみせてくれ」

「はい」
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