マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「高柳さん、ありがとうございます。佐知子さんも安心してくれて、私も助かりました」

「それは良かった」

「でも申し訳ありませんでした、高柳さんにまで嘘を吐かせてしまって……」

「嘘?」

「はい…停電の間、私がこちらにお世話になるという嘘に、話を合わせてもらって……」

「ああ、それか。別に嘘はついていないから大丈夫」

「え?」

「いや嘘ではないが、真実でもないな。停電の間だけではなく、三か月間一緒に暮らすことになったらからな」

「ええっ!」

「今日から三か月間、青水はここで暮らすことになったんだ」

私にそう告げた高柳さんは、相談でも提案でもなく決定事項を告げる時に見る“鉄壁上司”の顔をしていた。




< 83 / 336 >

この作品をシェア

pagetop