国王陛下に溺愛されて!?~メイド騎士の攻防戦~10/11に大幅修正完結済み。

布生地が少なめだし……。
私は、ハァッ……と深いため息を吐いた。
もう怒る気力も出ない。

そしてこの後は、食事の時間なのだがこちらにも
問題があった。長いテーブルには、腕利きのコックが
最高級の食材を使って作ったフルコース。
もちろん国王陛下のために作られたモノだし
当然と言えば当然なのだが……問題は、食べ方だった。

国王陛下は、私を膝の上に乗せて食べ始めた。
しかも「はい、アイリス。あーん」と言いながら
私に食べ物を向けて食べさせようとしてきた。

「いえ……結構です。後で頂くので
それにルチア様が食べにくいのでは」

「何を言っている。お前は、体力が足りないのだから
しっかり食べてもっと体力をつけろ。
ほら、あーん」

そう言いながら私の口に食べ物を押し込んできた。
無理やり押し込んでくるから驚いたが
食べてみると確かに美味しい。さすが高級食材を使い
腕利きのコックが作ったかいがある。

「そうか。ならもっと食べろ」

国王陛下は、自分が食べずに私ばかり食べさせてきた。
うーん。このお肉なんてトロトロで最高。
あまりの美味しさについつい食べてしまう
私も私だが……。

後でメイド長のエマに叱られてしまう。
メイドが主人に食べさせてもらってどうするんだ?と
言われた。他のメイド達には、白い目で見られるし
うぅっ……確かに。

耳が痛いことを言われて落ち込んでしまった。
私だってそんなつもりはない。
だが国王陛下の過剰な溺愛ぶりについつい
乗せられてしまう。国王だから逆らえないし
そのことを愚痴と一緒に同じメイドで
同い年の唯一の友人ミア・スーザンに相談してみた。

「なるほど。でもいいんじゃない?
羨ましいぐらいに愛されているんだし」

「楽しまないでよ。私は、
真剣に悩んでいるのよ……」

「ごめん、ごめん。でもさ
アイリスは、ルチア様に憧れていたんでしょ?」

「それは……そうなんだけど」

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