先輩、これって恋ですか?


「で、何があったの?」

「だから何もないってば…!」


改めて否定をするが、「ほらほら早く」と急かされただけで、その言葉には何の効果も感じられなかった。


どうしてわたしすぐに思っていることが顔に出ちゃうんだろう、そんなことを思いながら、ハァ、と小さなため息をついた。


「じ、実は───…」


結局最後は紬ちゃんに負けて、最近あったことを全て洗いざらい教えるハメになる。


智紘先輩と一緒にお昼を食べていること。

一人じゃなくなった温かさが素直に嬉しいこと。

そしてもう一つ。何より教えたくなかったことだけど、あの“うわさ”について。


それを聞いた紬ちゃんの反応は、わたしが予想していたものとは少し違っていた。


「あー、やっぱりあのうわさは春香とのことだったんだね」

「……え?」


全然、驚いてない……。
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