先輩、これって恋ですか?
「あー…はい。」
「付き合っても相手のことを好きになれなかったから、それに愛想尽かしてみんな俺のこと振ってくんだよね」
黙って頷いて、先輩の話を聞く──
「…で、そんな時に春香ちゃんと出会ったんだよね」
「えっ…? で、でも…」
……わたし、智紘先輩と会った記憶なんてないんだけど…。
すると、わたしの顔を見て、クスッと笑うと、「やっぱ春香ちゃんは覚えてないよな」そう言った。
「…あ、あの…わたしが智紘先輩と出会ったのは、中庭の時が初めて…ですよね?」
「うん。まぁそうなんだけど、実はもう少し前に一度俺たち会ったことあるんだよね」
「ええっ…?」
……智紘先輩みたいなかっこいい人に一度会ったことあるなら、絶対に忘れないはずなのに…。
「まぁ、ほんの少しだったから覚えてないのも無理はないと思うけど」