先輩、これって恋ですか?


「あー…はい。」

「付き合っても相手のことを好きになれなかったから、それに愛想尽かしてみんな俺のこと振ってくんだよね」


黙って頷いて、先輩の話を聞く──


「…で、そんな時に春香ちゃんと出会ったんだよね」

「えっ…? で、でも…」


……わたし、智紘先輩と会った記憶なんてないんだけど…。


すると、わたしの顔を見て、クスッと笑うと、「やっぱ春香ちゃんは覚えてないよな」そう言った。


「…あ、あの…わたしが智紘先輩と出会ったのは、中庭の時が初めて…ですよね?」

「うん。まぁそうなんだけど、実はもう少し前に一度俺たち会ったことあるんだよね」

「ええっ…?」


……智紘先輩みたいなかっこいい人に一度会ったことあるなら、絶対に忘れないはずなのに…。


「まぁ、ほんの少しだったから覚えてないのも無理はないと思うけど」
< 343 / 431 >

この作品をシェア

pagetop