ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


自分がしなきゃいけないことにようやく取り掛かったのに
美咲には逃げたんですか?と睨まれ
奥野さんにはズルイ真似してると呆れられ

伶菜はきっとわかってくれる
そう信じてこんな行動をとったんだけれど
やっぱり俺
あり得ない行動をとったんだよな


「でもまあ、あなた達らしいわね。これ必要でしょ?」


俺が谷本さんに怪しい目で見られながらも探していたモノ
それが目の前にいる奥野さんの手中にあった。



『奥野さん、それ・・・』


それを受け取ろうと両手を差し出したが
奥野さんはそれを手離してはくれなかった。


「ベッドの中でケリをつけないなんて・・・どこまで伶菜ちゃんのことベタぼれなのよ。」


代わりに差し出されたものはアイロンがあてられた桜色のハンカチ。


「言っておくけど、日詠クンのこんなやり方・・・普通の女なら、絶対ついていけないわよ。」


差し出されたハンカチを一応受け取ろうとしている俺に奥野さんは深い溜息を投げつける。



「難解すぎるわよ。そんな解決の仕方。でも伶菜ちゃんならわかってくれるって信じてるのね・・・彼女の前ではどこまでも不器用なのね・・・ハイ、これ。」


呆れた様子でそう言いながら
奥野さんはようやく俺が探していたモノを差し出してくれた。
やっぱり奥野さんにはお見通しだった。



「キスしたこと、悪いとは思ってないわよ。・・・隙がある日詠クンが悪い。」



やっぱりそうか


「それに、あたしから伶菜ちゃんを奪ったんだから、そのことも、そして今のキスも、とことん後ろめたさってやつを感じなさいよ。」


長年、この人の後輩をやってるから
考えそうなことはなんとなく予測がつく

だから多分、学生時代
伶菜を探して続けていた頃の俺の本性も見抜かれていたに違いない
伶菜とは異なる女性がすぐ傍にいたのに
ココロはその女性とは違うところを向いていたことを・・・・



「だから、もう伶菜ちゃんだけは泣かせるような真似するんじゃないわよ。絶対に、ね。」

『・・・ええ。』



俺にキスしてきた奥野さんの言葉の数々はやっぱり
伶菜のことを大切に想って紡がれたものばかりだった。

俺にとって

伶菜をめぐる本当のライバルは
もしかしたらこの人なのかもしれないと思えてしまうぐらいに。


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