ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's eye カルテ16:charge my heart



【Hiei's eye カルテ16:charge my heart】



「日詠先生、あたし、治療受けます。」


伶菜にカウンセリングをお願いしていた症例の白川さん。
彼女が数回のカウンセリングを経て、やってきた自分の外来診察でそう訴えてきた。
どこかすっきりとした表情で。


『そうですか・・・・』


口下手の俺は機転が利かず、そうとしか返答できず。
その分、ゆっくり頷いた。
決断できてよかった・・そんな気持ちを込めて。


「家族も一緒に頑張ってくれるって・・・そう言ってくれて、心強いです。」

そう言って目を輝かせた白川さんに対し俺はもう一度ゆっくりと頷いて見せた。



伶菜
白川さんやご家族をきちんと支えてくれて
ありがとう
・・・そんな想いも込めながら。



「日詠先生、改めて宜しくお願い致します。」

そう言って深々と頭を下げた白川さんに俺は


『頭を上げて下さい。』

と声をかけて、すぐさま頭を上げた白川さんにそっと右手を差し出し握手を求めた。


そんな俺の行動に驚いたような白川さんだったが、


「日詠先生、一緒のことをなさるんですね。」

『ん?』

「伶菜先生と。彼女も握手を求めてきましたよ。」

そう言って、彼女は顔が真っ赤になっていたであろう俺の右手をしっかりと掴んで下さった。


「ステキな奥様ですね・・・・お似合いです。」

そうやって褒められた俺は多分耳まで赤くなっていたに違いなかった。



白川さんが帰った後、何人かの妊婦さんに
“顔を赤いですけど大丈夫ですか?” とか
“日詠先生、もしかしてあたしに気があります?耳赤いですよ”

などと冷やかされながら外来診察を行った俺。


昼休みにメロンパンを買いに行った売店のおばさんにも同じように冷やかされる始末で。

「そういえば、奥様の伶菜ちゃんもメロンパン、買ってたわよ~。気持ちがいいから青空の下で食べるんだって。あの子、かわいいわよね~。日詠先生にあんな奥さん、いたなんて、おばちゃん、知らなかったわよ~。」

そんなおせっかい好きな売店のおばさんだけど
俺をただ冷やかしただけでなく、ナイスな情報まで俺にもたらしてくれた。


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