ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's eye カルテ19:bitter sweet secret area



【Hiei's eye カルテ19:bitter sweet secret area】



薄暗く、少々埃臭い空間であるこの場所
病院の資料室の片隅。

ソファーの上で抱き合う格好のまま1枚の白衣に覆われていた伶菜と俺。

頬から直に伝わってくるドクドクドクと速いリズムを繰り返す鼓動と
彼女に抱きしめられている温かさによって
俺は心地よい眠りに落ちていた。


sexの後。
こんな素の自分でいられることなんて今まではなかった。


“まどかのこと、スキ?” とか
“日詠先輩、朝までこのまま一緒にいて下さい” とか
“もう1回、しようよ~♪” とか

意識を飛ばしてしまうヒマなんかなく
本能を満たした後の自分はどうやってこの生ぬるい状況から上手く抜け出そうかなんて
そんなことばかり考えていた最低だった過去の俺


できるならこのまま時間が止まってしまえばいい
過去の俺が今の自分を知ったら驚くに違いないと思うぐらい
俺は自分から手放したくない時間に浸っていた。


でも

「あっ、カンファレンス・・・」


思い出したように小さな声でその言葉を紡いだ伶菜。
この時間に終わりが迫っていることを悟った俺だったが、


「でも、離れたくない・・・な」

このカワイイ呟きひとつで
カンファレンスなんてものが存在しなきゃいいのにと
医療人失格の考えが頭を過ぎった。


それだけに留まらず

『じゃあ、離せんな。』

もう1回抱きたいなんて本能までも湧きだってしまう始末で。
童貞を卒業したばかりの男みたいだ
 

「ちょ、ちょ・・ナオフミさん!!! 起きてたの?」

『俺も一緒に怒られる。』

「えっ!!!!! 一緒に怒られるって・・」

『怒られてもいいから・・・』


さすがに
“だから、もう1回したい” までは言えなかった。
いい年して節操ないと思われるのも情けないしな

眉を下げ、伶菜をじっと見つめた俺。

そんな俺の気持ちを感じ取ったのか


「じゃあ、怒られて下さい、一緒に。約束ですよ。」

そう言いながら、
俺の背中にかけられた白衣を肩まで引き上げてくれた伶菜は
再び俺をぎゅっと抱きしめ、そしてキスをしてくれた。



サボります宣言をした伶菜

いや、俺がそう宣言させたようなものだな
俺のせいで医療人失格がもうひとり増えた


でもこんな日があってもいいだろう
ついさっきまで
俺達は患者さん・その家族ときっちりと向き合っていたんだから



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