ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『ごめんなさい。ナイです。』
「相変わらずだな~レイナちゃんは♪」
人のことを思いやってくれていると思うこともあれば
こっちから突き放したくなるようなことも言う森村先生。
最近、私のこういう反応は彼の計算ずくであることも
気がつくことができるようになってきた。
だから
「そんなレイナちゃんに忠告しとくわ。」
『・・・?』
森村先生がこうやってふざけた発言をした後には
すごく大切なこと、重要なことを口にするということも
私は予測できるようになってきた。
そんな私だったから気になって仕方がなかった。
彼が言おうとしている忠告を素直に聞くために黙ったままでいた
私に彼はもう一度、テープが貼付されている首筋をそっと触れ、ゆっくりと口を開いた。
「医者っていうのはさいろんなヤツがいる・・実力もないのに自分だけでできるって思い込んでるヤツとか、オレみたいに勢いまかせに何とかしちゃおうとするヤツとか・・・でも一番信頼できるヤツは自分の実力をちゃんと疑っているヤツなんだ。」
どこか遠くでも見ているような目。
いつものように “オレが一番信頼できる” と言わなかった森村先生。
「それをちゃんと見抜けよ、レイナ。」
触れてきた彼の指先から伝わる感覚は
とても優しい。
その忠告が何に対してのものかわからなかったけれど
やっぱりちゃんと心に留めておこうと思った。
私を救ってくれたこの人のことも信頼しているから。
『森村センセ。』
「ん?」
だからちゃんと伝えておきたかった。
『覚えておきます。先生からのご忠告。ありがとうございます。』
「ば~か。そんな清々しい顔されると、オレもチューしたくなるだろうが。」
やり方はちょっと微妙なこともあるけど
どんな形であれ彼も私を見守ってくれていること
それに感謝していることを・・・・
「ま~覚えておけたら、覚えておけばいいんじゃね?・・・いつか役に立つかもしれんからな~」
照れくさそうに頭を掻いた森村先生が私にくれた忠告
それが後の私に起こった出来事において
あんなにも大きな影響を与えることになるなんて
この時の私は全然想像できてはいなかったんだ