ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


コイツ
噂どおりの空気の読めないヤツだな
オレ以上に

そんなヤツだから
部下のこともちゃんと把握してないんだろうな



オレの暴走にヤキモキすることなくスキにやらせてくれる矢野先生という理解のある上司の下で働いているオレからすれば
こんな上司を持つ日詠さんがかわいそうに思えてくる



『そうだよ。今、こっちで仕事させて、レイナにもしものことがあったら、アイツはドクター辞めるぞ。』

「そんなこと、あるはずないだろ?日詠クンぐらいのキャリアを持っている人間がまさか辞めるはずなんてない!!!!!」

『そのまさかだよ・・・アイツがドクターをやり始めたのも続けているのもレイナという存在があるからなんだよ。その存在が消えてしまったら、アイツもドクターを辞めるだけでなくどうなるかわからんからな!!!』

「・・・・・・」


やっぱりな
日詠さんにとってレイナというオンナが
どれだけ影響力がある人間なのか
わかってないってわけだ

でもそろそろ理解してもらおうか

ふたりで大切な時間を過ごさせてやるためにも
この人にもどうにかしてもらう



『アンタも困るだろ?あの難しい、、、なんて言ったっけ?TSLLだっけ?』

「TTTS(双胎間輸血症候群)だ!」


産科部長は自信あり気にきっぱりと俺の誤りと訂正した。

その治療を日詠さんが成功させた際に地元のマスコミが取材に来た時に対応していたのって確かこの人だった。
医者として患者を救うこと以外に興味がない日詠さんにとって
面倒臭いことを喜んで対応してくれるこの人の下で従事するのは
ある意味、バランスが取れているかもしれない。

この人にとっても日詠さんという部下がいることは都合がいいんだろう。



『そうそう、それそれ。それをここでやり始めた人間がここからいなくなるかもよ・・・どっちがいい?』

「なにがだ。」

『今、日詠さんをレイナの傍にいさせてやることでドクターで居続けられるようにするか・・・それとも・・・今、無理矢理こっちに引っ張ってきて仕事させて、ドクターを辞めさせてしまうのか?・・・・・どっちだよ、おっさん?』

「・・・前者だな。」


苦虫を噛むようにそう応えた産婦人科部長。

レイナがもし目覚めているのなら
ICUにいても日詠さんに仕事に行けと言うのだろう
患者を優先しがちな日詠さんはそんな彼女に甘えてきた
だからこそ今
日詠さんは彼女の傍に居たいはずだ

レイナの存在感をどこまでこの部長が理解しているかはわからないが
とりあえず、日詠さんの休暇は許可してもらえそうだな

オレが得ようとしているゴールまであと少し
ラストスパートをかけてやる

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