ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina’s eye ケース27:繋がったキオク





【Reina’s eye ケース27:繋がったキオク 】


「伶菜、俺、ベビーの様子、見てくるな。」


優しい笑顔のナオフミさんがそう言ってから、ここを出て行った後。
点滴の残量を確認してくれた看護師さんが教えてくれた。


ここがICU(集中治療室)であるということ
分娩時、母子ともに生命の危険にさらされていたらしいということ
ここへ来てから、しばらくの間、ナオフミさんがNICUとここを行き来していたこと
そして
私の人工呼吸器を取り替えられるか否かという選択を
彼が本当に苦しそうな表情で下したということ

更に
人工呼吸器を交換してから今まで
彼が殆どの時間、昼夜を問わずここで過ごし、
その間ずっと私の手を握っていてくれたということも
“優しい旦那様ですね。羨ましいです・・・” と笑ってもくれた。


断片的に残っている記憶と
今の看護師さんの話を繋がる部分が多くて。


『やっぱり・・・そうだったんだ。』

ようやく
本当に大切なことを想い出した。


そうやってひとつひとつの記憶をまた想い起こしながらひとりの時間を過ごしていた時に
ナオフミさんは私の元に戻ってきてくれた。
いつもはクールに微笑む彼が珍しく満面の笑みを浮かべながら。


「伶菜、ベビー、連れてきた。元気だろ?」

「ベビーも危なかった。でも生きようと頑張っている。」

「抱っこしてみる?」

「ほら。キミのお母さんだ。」


普段は口数も少ないナオフミさんが
必死にそう訴えかけながら大切そうに私に差し出してくれた赤ちゃん。

ナオフミさんとの赤ちゃんが生まれたこと
それも私の願いが叶ったうちのひとつ

先天性(生まれつき)の病気を発症しないか不安になるあまり
2人目を授かることを恐れていた私
それでも彼と一緒に乗り越えた上で授かった赤ちゃん

出産の途中から意識がなくなっていたせいで
赤ちゃんがどうなったのかわからなかった

その赤ちゃんの息遣いがすぐ隣から聴こえてくる


< 352 / 367 >

この作品をシェア

pagetop