ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
そんな俺だったから
“あ”
“り”
“が”
“と”
“う”
見逃さなかったかもしれない。
声の出せない伶菜の
息も絶え絶え状態での
ありがとうという言葉を。
『・・・ベビー。名前、付けてやらなきゃな。』
どうしても守りたかったふたつの命
それらを自分の手で守ってやることができなくて
悔いが残っていないといったら嘘になるけれど
家族として
目の前で “ちゃんと生きている” という実感を手にして
息が詰まりそうなぐらい
胸がいっぱいになった。