ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


『だから一緒に食べよ♪』

「ハハハっ、生まれそうってなんだよ。」


あっ、笑ってる
よかった~

ついさっきは凄く申し訳なさそうな声だったし、
昼間の患者さんの関する電話の時はそれとは逆に珍しく
なんだか風邪をひいて受診した時に処方してくれる薬の説明を淡々とする“お医者さん”みたいな感じにも聞こえたから


『だって、お鍋、順調にグツグツいってるから・・だから、魚屋さんに寄り道とか厳禁!』

「そうか。ありがとう・・・・それと・・・」


あれっ?
また元気ない?
どうしたんだろう?



『えっと・・』

「昼間、ゴメン」

『昼間?!』

「ああ、病棟で話、ちゃんと聞いてやれなくて」


ナオフミさん気にしてたんだ・・・
でも私が何も聞かずに勝手にカウンセリングルームへ戻ってきちゃったわけだし


『ううん、大丈夫だよ。私こそその場で声かけられなくてごめんなさい』

「いや、俺のほうも看護師さん達の話も、ゴメン・・・」


私がその話を気にしてるコト、バレちゃったかな~
でもゴメンとか謝られると、その話をナオフミさんが事実と認めてるみたいで


『夏・・・あ、ううん、夏近いのに、キムチ鍋とか・・やっぱナイよね・・』


いけない
うっかり眼科の夏木先生って誰?って聞いちゃいそうだった
奥野先生や美咲先生は産科の同僚だって知ってるけれど
夏木先生は私も知らなくて・・・

それを聞きたいけれど、聞けない
なんだか、ナオフミさんが浮気してるんじゃって疑ってるみたいで


「夏木先生、俺も知らないから・・・」

『・・・・』


携帯から聞こえてきたその優しい声にホッとしてすぐに返事ができなかった。

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