ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



『い、イタッ!!!!!!!』


今度は(あご)のすぐ下の
すぐに目につきそうなところに強くキスを落とされた。

こんなところにキスの跡が残ったら
また早川室長とかに探りと入れられると思うと
顔から火が出そう



っていうか
ナオフミさん

まさか、わざ・・と?



「じゃ、これ、頼むな。俺もそろそろ行くな。」


さっきチラリと見えてしまった彼の眉間にあった皺はもうなくて
いつものような涼しげな顔でそう言いながら一枚の紙が渡された。


そうだよね
ナオフミさんが誤解するとか
そんなコト、ないよね?

それにこの指示処方箋用紙
私へ患者さんをお願いするって話
本当だったんだ




ガチャッ




「今日の夕飯、白身魚」

『・・・白身魚?』

(すずき)の和風カルパッチョにするから、まっすぐに帰ってこいな。」



パタン・・・・


背中越しにそう言った彼によって静かに閉められたカウンセリングルームのドアの音。
その後、さっきまでの騒ぎが嘘のようにルーム内は静まり返った。




手元には達筆な文字で日詠尚史と書き込まれた指示処方箋
難しい症例って言ってた患者さんの処方箋

そういう患者さんを任せて貰えるのは臨床心理士として信頼されているみたいで嬉しい
彼は自分の患者さんに対して決して妥協とかはしないはずだから

その分、責任の重さも感じる

丁寧に、的確に
しっかりやらなくては・・・・


っていうか
この患者さんのコト、彼の口から何にも聞いてない!!!!!

(すずき)の和風カルパッチョというコトは聞いたけど
今はカルパッチョじゃなくて~




ピピッ、ピピッ!!!!!!



着信?
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