お前は、俺のもの。


「かしこまりました。では、加瀬が席に戻りましたら、折り返しご連絡致します。はい、失礼致します」
と、静かに受話器を戻す。
上司、加瀬部長への電話はこれで三件目だ。彼は三十分以上前からミーティング室へ入ったままだ。
打ち合わせの相手は、営業企画課の一ノ瀬課長だ。

営業企画課は営業部に所属する課だが、営業で業績を伸ばすというより、自社の扱う商品を使って自宅や商業施設や会社、クリニックなどの屋内外の空間デザインをプロデュースすることが主な仕事になっている。
営業企画課を率いる一ノ瀬課長は若いが仕事に厳しい人で「鬼課長」なんて呼ばれているが、人並外れた眉目秀麗な顔と長身なモデル体型に、女性たちにモテるイケメンだ。

でも、そんな彼が率いる営業企画課が売上を伸ばすことに貢献している実績があるため、インテリア総合商社の我社の営業部や販売部もお客様のために、業績のために頑張っている。
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