お前は、俺のもの。
「凪」
落ち着いた、耳心地良い声に気がついて、あたたかい素肌に顔を寄せる。
自分の背中に回っている、逞しい彼の腕。規則正しく聞こえてくる、彼の心臓の音。自分の足に絡む、彼の長い足。
カーテンの隙間から差し込む光が、朝が来たことを教えてくれる。しかし昨夜も甘く愛されたおかけで、まだ体のだるさが残っている。体がまだ起きたくないと、訴える。
お互いの肌同士が触れ合うって、どうしてこんなに気持ちがいいのだろう。ふわふわと、夢見心地を続けていたい。
その相手が、甘く溶かしてくれる鬼課長。
「大好き」
もう少しこのまま、と思っていた。
しかし、隣の体がグッと動いて、私に覆いかぶさった。私の真上に、鬼課長がいる。その顔は眉間にシワを作り、少し不機嫌そうだ。
「…一ノ瀬課長」
「…ったく。朝からくっついているお前の横で、自制心を保とうと必死だったのに。更に俺を煽りやがって」
「へ?えっ?」
何が彼を煽ったのか覚えのない私は、寝ぼけ眼で見上げた。
朝日が彼の顔に陰りを作り、絶妙なコントラストが美しい。
「…きれい」
鬼が「は?」と片眉を上げる。そしてニヤリと笑った。
「俺が綺麗だと思うのは、俺にイかされたお前の姿だ」
そう言って私が声を上げるより早く、唇に噛みついてきた。