お前は、俺のもの。
高速道路を降りて国道を走り、目的地の海の見える県道で、渋滞に巻き込まれた。
道の端で、黄色の上着姿のスタッフらしき男性が、
「この先三キロメートルほどの渋滞です。ご迷惑かけています」
と、列を作る車に声をかけている。
「しばらくかかりそうだな。凪、大丈夫か?」
運転席でハンドルを握る鬼課長に、助手席のシートを少し後ろに倒して、ゆったり座る私は苦笑して頷く。
あれからたっぷりと二時間、本当に溶け合ってしまうかと思うくらい、優しく愛された。
嬉しくて泣けるくらい、幸せだった。
「私も、愛してる」
掠れた声で呟いて、迫る波に揺れながら必死に彼の背中に手を回した。
そして、本当に腰の力が入らなくなった。
ベッドから降りた直後に、くにゃっとへたり込んだ私。「腰に力が入らない」と訴えると、鬼にヒョイッと抱き上げられて浴室へ直行。浴槽に座らされて、体のあちこちを撫で洗われ、体を拭かれて服も着せてくれる。
「自分でできる」と何度言っても、
「お前は、俺のものだから。俺がお前に無理をさせたから」
と言って、私を抱き上げたのだった。
「もうすぐ凪の誕生日だから、行きたい所へ連れていきたいが…」
そう言いながら、責任を感じているような鬼課長に、
「水族館に行ってみたいです」
と言った。
出かける頃には、壁つたいに歩けるまでに回復。
すると、鬼課長は「俺に体を預けろ」と、私を引き寄せて口をへの字に曲げる。
壁に嫉妬する彼に笑ってしまった。