お前は、俺のもの。
鬼の溺愛

翌日。
いつも通りに出社した私は、自分の向かいのデスクの綾乃が休日だったことを思い出した。
綾乃の仕事は商品の出入荷や在庫の確認などの一ノ瀬リビングの全商品のほとんどの把握をすることである。だからお客様の問い合わせの対応も、彼女にしてみれば造作もないことだ。
確かに彼女に引き継ぐ前は私の仕事でもあったが、彼女のようにここまで完璧だったかと思い返せば、見習いたいと思わせる程の優秀な先輩じゃなかった。
綾乃は後輩だけど、同じ女性社員として尊敬に値する。

人の気配を感じて、横を向いた。

由奈と小堺るみが不機嫌な顔で仁王立ちをしている。
黙っているわけにもいかずに「おはようございます」と、挨拶をした。

「満島さん、昨日のこと、説明して貰えますか。あれは私達への仕返しですか」

小堺るみの怒りに満ちた声に、私はわけがわからずに「なんのこと?」と、聞いた。
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