死者の時間〜最期のメッセージ〜
如月刑事と藍がそう話していると、「なるほど!じゃあ桑原さんがどこで頭を打ったのか調べる必要がありますね!」と原刑事が目を輝かせる。

「その前に、貯水槽の近くに落ちていた教科書の持ち主に話を聞くのが先だ。……朝日奈美紅(あさひなみく)という人物で、桑原さんと同じ三年生だ」

如月刑事がそう言い、原刑事は「そうでしたね」と頭をかく。藍はその様子を見て微笑み、解剖室を片付け始めた。



朝日奈美紅に話を聞けたのは、学校の昼休みになってからだった。

人の少ない屋上で、と朝日奈美紅が言ったため藍たちは屋上へと向かう。朝日奈美紅は三人の女子生徒とお昼を食べているところだった。その表情はどこか固い。

「あっ!刑事さんたちじゃない?」

「ええ〜!こっちの刑事さんは可愛くて、こっちの刑事さんはイケメン!」

「やだ〜!こんな人に質問されるなんて、美紅ちゃんが羨ましい!」

女子生徒三人は目を輝かせ、如月刑事と原刑事を見つめる。原刑事は嬉しそうに笑うが如月刑事はどこか迷惑そうだ。
< 12 / 30 >

この作品をシェア

pagetop