Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
時刻は、夜の11時を指し寝室へ向かう瀬戸口の後ろを歩いた。今自分がどんな顔をしているのか恥ずかしくてみたくない。鼓動が早くなっていく。


(緊張する・・・)

間接照明を淡い光に変えて、ベッドに寝転がった瀬戸口の横に転がる。
この瞬間を瀬戸口は何回も経験してきたわけで、こんな風に全てに緊張する私を面倒くさいと思っているのだろうな・・・という不安が思わず言葉になってしまう。


「ごめんね・・・処女ってめんどくさいんでしょ?」
ボソッと独り言のように呟いた。

「なんで?どうして?」

「うん。なんかので見たの」
今日に至るまでに、漫画やブログ、恋愛についてのまとめた記事を読み込んだ。こうしたら男に嫌われるとか、こうした方がいいだとか・・・今となっては頭がパンクしてもう何が正解なのか分からない。


「そう言う変なネットの記事みたいなの真に受けんなって。俺は翠が処女でやった~~って思ったよ。
最初で最後の男になれるから・・・」

瀬戸口が私の頭を優しく撫でてそう言った。緊張が少し緩和された。

(瀬戸口に全部任せよう・・・)


誰にも邪魔されない二人だけの空間で、今まで一番長いキスをする。


瀬戸口は私の体に少しずつ触れていく。
微かな淡い光に染まる天井を見上げる。恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。
しかし、『恥ずかしい』などと言っている余裕がないほどに自分の体が女になっていく。
触れられていく全てが熱を帯びる。

「かわいい・・・」
「綺麗だよ・・・」

そんな甘い言葉をかけられた。

こんなに愛おしくて苦しいのは、全部全部、瀬戸口のせい・・・
どうしてこんなに私のことを知っているの??



「大丈夫・・・?」
そう問いかける瀬戸口に、私は頷いた。
(本当は、大丈夫なんかじゃない。でも、やめて欲しくないの・・・)


「翠・・・愛してるよ・・・」

「うん・・・私も・・・」

(もう、息が苦しいよ・・・)

このまま離れてしまうのが惜しい。
息ができないほど苦しいのに、この甘い夢見たいな時間がずっと続けばいいなとさえ思う。

一度、止まりお互いに息を整えた後、抱きしめあって甘くて長いキスを交わす。

「初めてが瀬戸口でよかったよ・・・」

「ベッドの中でも苗字で呼ぶんだ。さみし~~~」

「ごめん・・・・あれ・・・下の名前なんだっけ」

「おいっ泰生だわ」

「ごめん。泰生・・・」

「うわ・・・呼び捨てキュンとする」

私を腕の中に引き寄せて腕枕をする。その温かい腕の中にいつまでも抱かれていたい。





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