Bloody wolf
赤い紅を塗った唇に包まれると、気持ちとは裏腹に体は反応を見せる。

好きな女じゃねぇと反応しないだとか言ってる男がいるが、そんな訳ねぇ。


気持ちがなくても、欲を吐き出すことは出来んだろ。

その為に男の体は反応するように出来てる。


女の姿を冷静に見つめる俺の心は冷えていく。


艶かしい音が部屋に響く。


手慣れた様子の女は相当遊び慣れてるんだろう。

そう思えば思うほど、心の奥が冷めていく。

同じ髪型をした女を響に見立てたかったのか、自分でも分からない。

女は甘く啼く。

体を赤く高揚させて、どんどんと高みへ登る為に。


俺は義務的に吐き出すだけの行為を続けた。

モヤモヤした気持ちが晴れるように、苛立ちが治まるように。


それなのに、頭の隅にはずっと響がいて、苛立ちもモヤモヤも消えなくて。


女が一際大きく啼いてベッドに崩れ落ちる。


欲を吐き出してスッキリしたはずなのに、モヤモヤは消えてねぇ。

「・・・チッ」

吹き飛ばしたかった苛立ちも、さらに増しただけだ。


くそっ・・・やる前より酷くなってるじゃねぇか。


茶色い髪に顔が隠れたままの俯せた女は、どう見ても響には似てなくて。


「・・・響じゃねぇ」

当たり前の事が口をつく。

「・・・えっ?」

驚いた顔でこっちを見た女を感情の籠っていない瞳で一瞥して、俺はベッドを離れた。


「着替えが済んだら出ていけ」

低い声でそう告げて、部屋の奥に設備されてるシャワー室へと向かった。
< 34 / 142 >

この作品をシェア

pagetop