Bloody wolf
「俺、そんなんじゃねぇのに」

唇を尖らせた瑠偉は、

「響さんの言う通りだと思いますよ」

と真面目な顔で秋道に言われてる。


「ねぇねぇ、僕って目が笑ってないの?」

しゅんとして聞いてくる光希。

悪いことを言っただなんて思わないのが、彼のそれが作り物な感じがしたから。


「あくまでも私の受けた印象だもん。他の女の子なら言わないんじゃない?」

「響ちゃん、やっぱかっこいい」

そんななつかれても困る。


「響、俺はヘタれじゃねぇからな」

「ちょっと、唾飛ぶからやめて」

やけに近い晴成の肩を押し返す。


「響さんの人を見る目は当たってると思いますよ。俺は腹に一物を抱えてなんていませんけどね」

いやいや、その顔が抱えてるって。

秋道の黒い笑みに、背中が少し寒くなった。


「俺はかなり当たってる」

1人だけ納得してる豪は、強面の顔でニカッと笑った。

うん、秋道とは別の意味で怖い。


「豪だけずりぃ~」

騒ぐ瑠偉。

「お前は自業自得だからな」

豪は冷めた視線で返す。

「ほんとほんと、瑠偉は女の子とチャラチャラし過ぎだも~ん」

ニシシと光希が笑う。


「響ちゃん、違うからな。俺、そんなんじゃねぇし」

叫んでる瑠偉は無視して良さそうだ。


部屋の中がやけに賑やかだ。

それぞれが楽しそうに笑っていて、仲間ってこんなものなのかな。



晴成の世界は、色んな色を持ってる。

こんな世界に生きてる彼が少しだけ羨ましいと思った。


私の持ってない世界。

晴成と出会わなければ、こんなの知らなかったんだろうな。


自分に無いものを持ってる晴成が羨ましくもあり妬ましくもあり。

ここが私の世界じゃないことを嫌でも思い知らされる。



「どうかしたんですか?」

秋道は心配そうに私を見ていて、

「ううん、なんでもない」

初めから知らなければ、こんな気持ち知らなかったんだろうな。

左右に首を振って食事を再開した私に、秋道と晴成が微かに目をしかめたのを私は気付かない振りをした。
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