Bloody wolf
ー晴成sideー
響を溜まり場に連れて来れたのは、思わぬ収穫。
うちの幹部連中とも、何気に和んでるし。
でも、フッとした瞬間、響の顔は曇る。
普通に話してるのに、こいつの周りには壁があって。
俺達をそこへ入らせない。
この壁はどうやったら、取り払えんだろうな。
隣にいるのに、響が遠い。
この距離を詰めることが出来るなら、なんだってやってやろうと思えた。
生まれて初めて、欲しいと思った女だ。
簡単に逃がしてなんてやらねぇ。
響の世界が俺達のそれと違う事は分かっていても、同じ時を歩くために無理矢理引っ張り出してやる。
たとえ、俺の背負う運命が邪魔をしようとしてもな。
「晴成の世界は面白いね」
競い合うように食事をする瑠偉達を見つめながら響が言う。
「ああ、毎日が面白れぇぞ」
「そうだろうね。暴走してる姿も圧巻だった」
「連中は、一瞬一瞬に全てをかけてやがるからな」
響が好意的に話してくれた事が嬉しくて、思わず顔が綻ぶ。
「交差点に単身特効して、クルマを停めてた人が凄いと思った」
「ああ、あれは瑠偉の十八番だ」
普段のあいつからは想像できねぇぐらいに、獰猛で貪欲だ。
「へっ? あれって瑠偉なの」
響が目を丸め信じられないと瑠偉を見た。
「ああ。あいつはあれでもうちの特攻隊長だ」
「人って見掛けじゃないのね」
「まぁそう言ってやるな」
「いやいや、あのちゃらんぽらんな彼があんな凄い事をするなんて、普通思えないんだけど」
「あのギャップが女にモテる」
「・・・そんな情報はいらないけどね」
眉根を寄せた響は、そのまま苦笑いした。
「確かにな」
「他の人達も役職とかあるの?」
「役職ってほどでもねぇけどな。豪が斬り込み隊長、光希は情報収集と操作。秋道はチームの参謀」
「瑠偉以外は、分かる気がするね」
よほど、瑠偉の特攻と今のあいつが結びつかねぇらしいな。
「ククク・・・。言い忘れてたが、俺がウルフの総長だ」
世の情報に疎い響だから、知らねぇかもしんねぇしな。
「知ってるよ。学校でも生徒達が騒いでるもの。ウルフの晴って、あなた以外に居ないでしょ」
「へぇ、お前でも人の噂は聞いてんのかよ」
意外だなって顔をしたら、響は嫌そうに顔を歪めた。