課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「まだ猿みたいで、あんまり可愛くないですよねー」
と我が子を評して言うと、一緒に覗き込んできた羽村が、

「我が子なのに、冷静だね」
と笑っていた。

 羽村が側に来ると、相変わらず、いい匂いがする。

 以前、
「僕の匂いがいい匂いだと思うのは、実は、僕のこと好きだからなんじゃないの?」
かと抜かしていたが。

 いや、羽村さんは困った人だが、それはさておき、いい匂いは、いい匂いだ、と真湖は改めて思っていた。

「ほんとだ。
 よく寝てるねー。

 真湖りんの従姉が言ってた通りだね」
と羽村が言う。

 騒がしいところの方が意外とよく寝るわよ、と従姉に言われたので、見舞いと称してやってきた連中が宴会が始めても、此処にベッドを置いたままにしていたのだ。

 本当だ。
 よく寝てるなーと眺めていると、おっぱいの匂いでも感じたのか、ぱち、と小猿のようだが、可愛い我が子が目を覚ました。
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