課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 いや、どれもいい名前なのだが。

 つい、いろいろと考えてしまう。

 だから、子どもの名前って、なかなか決まらないんだな、と真湖は思った。

 まあ、ちゃんと考えて付けたところで、後から、『あー、失敗したっ』とか。

 他の人の解釈に、『そう来るかーっ』とか思ったりすると近所のお姉ちゃんも言ってはいたが――。

「いろいろ考えたんだが」
と雅喜がふたたび、口を開いた。

「子どもの顔を見ると、どれも当てはまっていないような気がしてな。

 そのうち、だんだん考えすぎて、キラキラネームっぽくなってきて――」
と言い出す雅喜に、

 いや、逆に、聞いてみたいんですが、課長の考えたキラキラネーム。
 すごい破壊力がありそうだ……、
と思っていると、

「まあ、そういうわけで、さっぱり一字で、『(かい)』にすることにした」
と雅喜は話をまとめる。
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