課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 大変課長らしいと思います、と真湖は思っていた。

 考えすぎて余計ややこしくなるところとか。

 考えすぎて、まあ、いいか、となってしまうところとか。

 まあ、こういう性格じゃなかったから、うっかり、一緒に旅行に行ったりしないよなー、と改めて二人の始まりを思い出していた。

「私も(かい)でいいと思います」
と言うと、雅喜は自分で決めておいて、少し不満そうに、

「まあ、ひねりがないかなとは思うんだが」
と言ってきたので、

「いや……ひねらなくていいですよ」
と真湖は言った。

 とんでもない方向にひねり出しそうだから。

 そして、赤子を――

 いや、海を抱き上げる。




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