夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
「キースさん!」

現れたのはかつてラミンとミレイアに過去の出来事を教えシエラ国王と共に最後の戦いに立ち会った人物。そしてドリスター家にも大きく関わる。

「お久しぶりです。ラミン様、ミレイア王女。ミレイア王女は先頃永い眠りからお目覚めになったと知り嬉しい限りです。お会いしとうございました」

にこりと笑うキースに嬉しくなったミレイアが駆け寄り、ラミンも立ち上がりかつての仲間と硬い握手をした。
皆が一様に注目している事に気付いたキースは改まり一礼する。

「はじめまして、ノアローズ国王様王妃様、そして皆様。私はシエラ王国の迷いの森の麓で牧師をしております、キース・カリミンと申します」

「カリミン!あなたが…」

驚いたのはドリスター公爵。
長い年月の中、親交も断たれていた同じ祖を持つ縁戚の名前を聞いてハインツ・ドリスターは驚き立ち上がる。
目を向けたキースは歩み寄り手を差し出した。

「あなたがドリスター公爵さまですか?同じ血縁者としていつかお会いしたいと思っておりました」

ドリスター公爵も頷き固く握手をし、エルストンも立ち上がり握手を交わす。

キースは肩までの少しくすんだ銀のウェーブ掛かった髪でメガネを掛けていて、顔立ちがどことなくラミンに似ていたのだが、こうしてみると髪型が似ているせいか優しげな表情がエルストンの方に似ている気がする。

皆、挨拶をかわし座り直し落ち着いたところでモリスデンが口を開いた。

「実は、ゆゆしき事態が起こってな…ヴァルミラ様が消えてしまったのじゃ」

「えっ!?」

「それと同時にアドラード様の髪の毛も消えてしまいました」

モリスデンの言葉に皆驚き、キースの補足にミレイアとラミンが目を合わせた。

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