夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
ぎろりと光る赤い瞳に固まってしまう。

ガゼントによればそれは時空を超えてやってきた者達。
力のある魔物は魔法を使い、擬人化出来知能も高いため、大抵は人間に成り済まして人間と共に生きている。
力を持つものほど人間の奥深さを知り興味が沸き共存することを望むからだ。
しかしその数は限りなく少ない。
魔物と人間が恋に落ち結婚するのが必然的に起きるが、子が出来にくく子孫を残す事が出来ない。
ヴァルミラやグラージャはそんな中生まれた珍しい半魔物だった。
そして魔物は寿命は長いが永遠ではない。
永遠の命を持ってると言われるヴァルミラもいつかは死ぬらしい。

グラージャはこの世界を壊そうとし人間を脅威に落とした張本人。
それをヴァルミラとクリスリードが倒し、人間の平和を取り戻した。
しかしグラージャは魔法や呪いに長けていた。
倒されても尚呪いをこの世界に掛け自分は亡霊になってまでも復活の時を待っているという。
ヴァルミラの呪いと言われた黒い雲の脅威はこのグラージャが掛けたもの。
その男が今まさに世界を乗っ取ろうと企んでいる。

「初耳だな…その話は信用できるのか?」

「僕にはわかる。この人は真実を言っているよ」

「エルストン?」

過去を見ることが出来るエルストンは皆が注目する中過去を全て知れるわけではないがガゼントの言っていることは真実を言っていると確信が持てると頷いた。

「あんたは結局俺達の敵なのか?見方なのか?」

「我々は人間が好きでこの世界に生きている。半分は人間でできているのだからな当たり前だ」

ニヤリと笑うガゼントに冷やりとしたなにかが通り過ぎた。


「あなたは一体……」
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