不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「あっ…」

定時で終わった俺が目にしたのは、左前輪がパンクした蓮見さんの車のタイヤだった。

「あれー、パンクしちゃってますね。これって蓮見さんの車ですよね。会社に電話して教えましょうか?俺やりますよ」

一緒に駐車場に来ていた後輩の一人が携帯をポケットから取り出した。

「あっ!まて…」

俺が静止するより先に片瀬さんが奴の行動をやめさせた。

「いいよ、俺が蓮見ちゃんに連絡するから」

片瀬さんのお気に入りなのを理解している後輩たちは

「じゃあお願いします。
お先でーす」

とそれぞれ自分の車に乗り込み帰っていく。

片瀬さんは奴等がいなくなると

「じゃあ、あとは香田頼んだからな。

今電話してスペアーにかえてやれ。

まぁ俺なら、今連絡しないで仕事終わるのまってるけどな」

と手をヒラヒラさせて帰っていった。
< 122 / 133 >

この作品をシェア

pagetop