不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「…俺の勘違い?

でも、本気にさせた蓮見さんが悪い。もう手遅れだから。見てるだけはやめたから俺。

…明莉、俺のことで頭ん中いっぱいになれ。

好きになれ、俺のこと」

妖艶に微笑んだ香田さんの至近距離の顔が、ゆっくり私に近づいて…

気がつけば私たちの唇の距離はゼロ…

すぐに離れた唇の持ち主は、目を見開いたまま固まる私を見つめて、目を細めて微笑んで

「目はとじるものだ」
とくすりと笑う。

「明莉の初めては、全部俺がもらうから。

好きだ。

今から明莉は俺のものだ。

誰にも渡さない。俺を好きになれ」

静かに近づく綺麗な顔を見つめながら、その距離が数センチのところで私は慌てて目を伏せた。

その距離がゼロになる寸前、ふっと笑う声が聞こえて、ファーストキスもセカンドキスも、大好きな香田さんが一瞬で奪っていった。
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