不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「あーっっ!!」

信号待ちの車内で私は絶叫して、両手で自分の顔を覆う。

「見られた…」

至近距離の端整な顔のイケメンに見惚れている場合ではなかった。

「もぉ、やだぁ」

沸騰していた頭が急速に温度を下げる。

スッピン…。
初めてのキスがスッピン…。

至近距離のイケメンに至近距離のスッピン…。

「香田さんのイジワル…」

半べそのまま、指摘されたとおり香田さんのことばかり考えながらどうにか帰宅した私は、車から降りる前にワン切りした。

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