不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
香田さんは以外とマメな人だった。

電話やメールは毎晩、私のほうが仕事が終わるのが遅いときには駐車場で私の上がりを待っている。

香田さんににじりよる女性たちを度々目にしてムカムカするが、それ以上に彼は私を甘やかして大事にしてくれている。

だから、勝手にヤキモチをやいて不貞腐れたり不満を口にするのはおかしな話だ。

わかってはいる。

頭では理解しているつもりだが、やはり面白くはない。

そんな私を見透かすように

「モテるだろ香田。
無愛想な癖に合コンでもキャバクラでも俺よりもてるんだよなぁ」

片瀬さんの言葉にピクリと私の眉がつり上がる。

「合コンにキャバクラ…」

綺麗な女性に取り囲まれる香田さんの姿が容易に想像できて不機嫌に…なんてならなくて、つり上がった眉はすぐにハの字に垂れさがり、今にも泣き出しそうな私に片瀬さんが焦りだした。



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