不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「なんで泣きそうな顔をさせてるんです?

かまうのはやめてくれって釘指しましたよね、俺」

「お前が悪いんだろ。
昼休みにおねぇちゃんたちとベタベタしてるから蓮見ちゃんがヤキモチやいて不安がってるんだろ?」

「えっ…?」

香田さんが驚いたように私を見つめるが

「…合コンにキャバクラ…もてもてだったんでしょうね…」

思わず呟いてしまった言葉にハッとして口を手で塞いだが、その声ははっきりと聞こえてしまったようで、香田さんは、片瀬さんをギロリとひと睨みして溜め息をついた。

「明莉…」

名前を呼ばれて跳ね上がる心臓を抑え

「ごめんなさい!」

と逃げるように二階フロアーに駆け込んだ。

こんな些細なことで、いちいちヤキモチなんてやいていたら、面倒くさい女だって嫌われてしまう…。

モヤモヤする気持ちに蓋をしてドキドキする胸に手をあてて気持ちを落ち着かせた。

こんなことでは、もてる香田さんと付き合ってはいられない。
彼の恋人でいるのなら、些細なことには目をつぶらないと付き合ってはいられないのだ。
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