不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
モヤモヤしながら仕事をしていた私の作業効率は凄まじく悪くて、ただでさえ忙しい月末なのに残業が確定となってしまった。

『お疲れ様です。
月末で忙しくて残業になります。
先に帰宅してくださいね。
家に着いたら電話します。』

終業時間に香田さんにメッセージを送った。

そうしないと彼のことだから、あんなことを口にして半べそをかいていた私の帰りを待つに違いない。

好きになればなるほど、欲張りになってしまう。

香田さんがたまにしか見せない、極上の笑顔は私だけにしか向けられていないのに、もっともっとと我が儘に彼を求めてやまない私がいて…

醜い嫉妬と独占欲の塊になっていくこんな感情に支配されていく自分に驚きつつ、そんな自分自身が嫌で堪らないのだ。

醜い私を知られたくなくて…つい口走ってしまった自分が恥ずかしくて堪らないのだ。

「こんな重たい女嫌われちゃうよ…」

溜め息をつきながら香田さんのことを考えてしまう私の作業は、やはりはかどらなくて予想よりも遅い上がりとなってしまった。

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