不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
私のペースでと言ってぐれた香田さんは、私にキス以上のことはしてこない。

もっと触れてほしいし、私も香田さんにもっと…触れたい…

ヤキモチを妬くようになってから、独占欲の塊みたいになった私は、香田さんの本当の彼女になりたいと思うようになっていた。

至近距離で見つめてくる香田さんの目をじっと見つめたまま、思いを素直に口にしようとした。

「あの、私…蓮司にだ……」

抱いてほしい…あまりにもストレートに言いかけて、自分が口にしようとした言葉に赤くなると

「なに、急に赤くなって。だ…?
大好き?」

くくっと笑いながら手を握られて、手から私の体温の高さが伝わっているのが恥ずかしい。
すぐに

「違います!!」

と否定したが大好きなことは間違いない。

「あっ!
いえ、違わないです…。
えっと…あの…私…」

口ごもる私の言葉をじっと優しく見つめて待ってくれる。

「えっと…あの…蓮司の都合がいいときに…

家に…

その…泊めてください…。

蓮司の家に泊まりにいきたい…」

尻窄みに小さな声で口にした言葉の意味を理解した香田さんが、目を丸くして…すぐにその瞳に熱がこもり

「家でいいの?

どこか旅行でもいく?」

近づいた顔は耳元でそう囁いた。


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