不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
頭上からゴクンと唾を飲み込む音が聞こえた。

私と同じくらい激しく動く心臓の音が押し付けた耳から聞き取れる。

「明莉…あんまりさ、煽んないでくれよ。

今すぐ押し倒したくなるだろ…。

いつもってさ…ここでだってできるんだぜ?

っていうか、意外とすごいこと言ってくれたよな」

笑いだした香田さんは私の髪をわしゃわしゃと撫でまわして、両手で頬を包み込み、私と目を合わせた。

「明莉、クリスマス一緒にすごそう。
大雅を追い出すからうちに泊まればいいよ。
本当は、明莉の気持ちかわったら困るから、今すぐ俺のものにしたい。
でも、今日はがまんしとくよ」

そういって近づいた顔を、恥ずかしくて見れなくて、目を瞑る私の瞼にそっと唇が触れたのを感じた。

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