【放浪恋愛】アリョーナの旅路~ソッフィオーネを鳴らすまで
第12話
ボブさんと離婚をしてから1年後の2014年9月頃…

アタシは、シカゴに滞在をしていた…

アタシは、西海岸を目指してヒッチハイクの旅をしていたけれど、途中で旅費と生活費を大きく減少したので、残っている蓄えは3ドル40セントであった…

そう言うことで、シカゴで足止めとなっていた…

アタシはこの時、もう一度旅費と生活費を稼ぎなおすためにシカゴ市内でバイトを始めていた…

アタシの1日は、朝7時から11時までの間はベストウエスタン・リバーノースホテルのフィットネスセンターとサウナと屋内プールのアメニティの仕事をして、昼1時から夕方4時までワーグリーンズ(ドラッグストア)でバイトをして、夜は6時から深夜11時までリグレーフィールドスタジアムの近くにあるスポーツバーでウエイトレスのバイトと3つのバイトをかけもちで働いていた…

住まいは、ベストウエスタン・リバーノースホテルのリネン室の片隅で生活をしていた…

日当は1日合計28ドル10セントで、月20日働いて56ドル20セントであります。

毎月50ドルを旅費に取っておくために貯金をして、残りの5ドルで食費などの生活費に充てているけど、それでもまだ足りないので、リグレーフィールド(カブスの本拠地)とUSセルラーフィールド(ホワイトソックスの本拠地)でピザとビールの売り子をかけもちでしていたし、ユナイテッドセンター(NBAのシカゴブルズの本拠地)のスタンドでサンドイッチ売りの売り子さんやソルジャーフィールド(NFLのシカゴベアーズの本拠地)のスタンドでビールの売り子さんもしていました。

お給料は、日払いで30ドルです。

それでもまだ足りない…

できれば、バンス(お給料の前借り)をしてまでも西海岸まで行く旅費を確保したい…

けれども、それはできない…

足りない分については、郊外南部にあるグレンウッディークラブ(ゴルフ場)で時給12ドルのキャディさんのバイトで稼いでいた…

とにかく、西海岸へ行くためには何が何でもおカネを稼がなくてはならないので、立ち止まっている時間は1分もなかった…

時は流れて…

2014年9月16日のことであった…

アタシはこの日、グレンウッディークラブ(ゴルフ場)にてキャディさんのバイトをしていました。

アタシはこの時、60代の男性のメンバーのお客様の担当をしていましたが、後にメンバーのお客様の男性から声をかけられることになっていました。

「社長、ここはリラックスをして…」

メンバーのお客様は、池の向こう側にあるグリーンにボールがのるように、五番アイアンで少し強めにボールを打っていた…

ボールは、楽々グリーンに乗ったので同伴のお客様が『ナイスショット、お見事です。』と言うて、手をたたいていた…

それから二時間半後に、メンバーのお客様たちはホールアウトをして、クラブハウスの中にあるレストランに行った…

お客さまたちは、冷えたピルスナーで乾杯をしたあと、和気あいあいのひとときを過ごしていた…

アタシはこの時、日当60ドルを受け取った後にゴルフ場をあとにして、夜のバイト先へ向かおうとしていた時であった…

アタシは、支配人さんから『総合商社の社長さん(アタシがキャディの担当をしましたメンバーのお客様)がお呼びだからクラブハウスに来てほしい…』と言われたので、クラブハウスへ行った…

支配人から聞いた話によると、アタシに声をかけたメンバーの男性のお客様は、トリビューンタワーの中にある総合商社の社長さんであった…

社長さんは、アタシがもくもくとキャディさんのバイトに精を出して働いている姿見て、なんとかしてあげたいと思ってお声をかけてくださった…

アタシがクラブハウスの中にあるレストランに来た時、社長さんたちはピルスナーをのみながら世間話に華を咲かせていた…

社長さんはにこやかな表情で『よく来てくれたね、まあここへ来て、一緒にごはんでも食べませんか。』と言うて、アタシを呼んだ…

アタシは、社長さんが座っている席の向かい側のイスに座った後、こんな会話をしていた…

「今日は、最初から最後までキャディのお仕事ごくろうさまでした…ところで…お名前をまだ聞いていなかったけど…名前を教えていただけますか?」
「アリョーナと言います。」
「アリョーナさんですね…いつもここでキャディのバイトをしているのかな?」
「いえ、不定期でキャディさんのバイトをしています。」
「そうかそうか…アリョーナさんは、働き者だねぇ…一生懸命になっておカネを稼いでいるようだけど…夢でもあるのかな?」
「夢…でしょうか?」

アタシは社長さんからの問いに対して、お金がたまったら西海岸へ移住するとは言えなかったので『特に…決まった夢は…』と気乗りしない声で答えた…

社長さんは、残念そうな声で『ないのかね。』と言うたあと、アタシにこう言いました。

「アリョーナさん、それだったらちょうどいいお話がありますが、いかがでしょうか?」
「ちょうどいい話って…」

社長さんはアタシに、少し遠回しの口調で言うたあと、アタシにお見合いの話をすすめていた…

社長さんは、総合商社の営業の38歳の男性社員のマーティーさんはいかがですかとアタシに言うていた…

マーティーさんは、ハーバード大学をトップの成績で卒業して、年収は20万ドル…

…と社長さんは言ってたけど、マーティーさんのいる部署は営業でも、苦情受付係りの配属でありました。

マーティーさんは、入社をしてから仕事ひとすじで通してきたので、結婚相手と知り合う機会がまったくなかった…

社長さんは、そんなマーティーさんを心配をして、アタシとのお見合いの話を持ちかけていた…

アタシは男なんか大きらいだから、結婚なんかしたくない…

けれど、社長さんは『一度会ってから決めたらどうかなあ~』と過度にやさしい声でアタシに言うていた…

だから、アタシは仕方なく社長さんの頼みを聞き入れた…

9月21日にリンカーンパークの近くにある高級レストランでマーティーさんとのお見合いをすることになりました。
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