【放浪恋愛】アリョーナの旅路~ソッフィオーネを鳴らすまで
第16話
それから8日後の10月20日のことであった…

社長さんは、あいつの不満をやわらげたい一心でお給料を上げることを決めた…

この日の昼3時前に、社長さんはあいつを社長室へ呼び出した…

あいつのがんばりを評価して、お手当てを10ドル上乗せしてあげようと提示した…

社長さんは、あいつのお給料を特別手当て10ドルを上乗せして、お昼のデリバリーランチで注文しているマクドのビッグマックセット(フライドポテトとドリンク付きで)を注文してあげようと提示した…

けれど、あいつは社長さんが提示した案を拒否した…

社長さんは、あいつがどうして提示を拒否するのか分からないと言うたので、双方が言いあいになってしまった…

「社長。」
「何だね?」
「マックのデリバリーランチを頼んだら50セントですね…それを20日頼んだら10ドルになりますよ。」
「そうだよ。」
「それでは、お給料を上げた意味がないと思うけどぉ!!」
「マーティーさん!!私はお給料に10ドルのお手当てを上乗せしても、保険や雑費とデリバリーランチの費用を差し引いても多く残るようにしてあげようと言っているのだよ!!」
「何なのですか一体もう!!デリバリーランチ、デリバリーランチと言うけれども!!何のためのデリバリーランチなのですか!?」
「何のためのって…お腹がすいていたら、午後の仕事ができないだろうと思って、ビッグマックのセットにしてあげようと言うているのに、マーティーさんはうれしくないのかね!!」

あいつは、社長さんの言葉にキレていたので『出向か地方へ転勤させろ!!』と凄んで行った…

社長さんは、あいつが言うた言葉を聞いたので、カッとなってしまった…

「マーティーさん!!それが雇い主に対して言う言葉なのか!?今のうちの会社は、経費節約でお給料を上げるのがむずかしいのだよ!!」
「そんないいわけなど聞きあきたわ!!ケイヒセツヤクと口で言っておいて、従業員さんたちのお給料の支払い口座を私的なことに流用して、平日ゴルフや政治家との接待に湯水のごとく使っておいて…あんたはふざけているよ!!悪いと思っているのだったら、従業員さんたちの前で土下座してあやまれよ!!」

あいつの言葉に対して、社長さんは居直った言葉であいつに言い返していた…

「マーティーさん!!マーティーさんは、自分がここまで来ることができたのは誰のおかげだと思っているのだ!?」
「冗談じゃないよ!!オレが社内恋愛をしたいと思っていたのに、なんで社内恋愛をするなと言うたのだ!!」
「そのことについては悪かったと言っているだろ!!」
「テメーはふざけているのか!!結婚できるチャンスがめぐってきたと思って期待していたら、あんなつぎはぎだらけのキズ物の女だった…それも、しんまでくさっている粗悪品の女だった…それも…あんたがからだをグチョグチョにいじくっていたじゃないかえ!!オレにメアリーと付き合うなと言うたのは、あんただからな!!」
「何を言うのだね!!アリョーナさんは、働き者で複数のバイトを掛け持ちしてがんばっている…マーティーさんが足りないと言っている金額分を補えば結婚生活ができると思って選んだのだ!!グダグダ文句を言うな!!自分の給料とアリョーナさんの給料を計算してみろ!!」

社長さんは、あいつにこう言うたあと奥の部屋に逃げて行った…

しかし、あいつは社長さんの言葉に思いきりキレていたので、怒りのホコサキをアタシに向けていた…

それから八時間後のことでありました。

アタシは、ソルジャーフィールドでNFLのホームゲームが行われていたので、ピザの売り子さんのバイトをしていた…

試合が終わって、日当60ドルを受け取った後に足早にバイト先のホテルのリネン室へ帰ろうとしていた時であった…

アタシは、降り悪くあいつと遭遇してしまった…

この時にアタシは、あいつから『カネを出せ!!』と凄まれたので、ふたりは大ゲンカになってしまった…

「なんなのかしらあんたは一体!!あんたはアタシと会うなり『カネを出せ!!』って言うけど、どういうコンタンなのかしら!?アタシが何をしたと言うのかしら!?」
「社長がメンバーになっているゴルフ場でお前がキャディさんをしていた時に、社長に結婚の世話してほしいと言うて、甘えていたのだろ!?何とか言えよ!!」
「そんなことは知らないわよ!!」
「何だと!!そうやってアリョーナは逃げる気なのか!?」
「やかましいわねあんたは!!あんたはアタシにいちゃもんつける気なのかしら!!」
「オレは、メアリーと結婚をしたかったのに…お前のせいでメアリーと結婚できなかったのだぞ!!悪いと思っているのだったらあやまれよ!!つぎはぎだらけのボロ女!!」
「悪かったわね!!つぎはぎだらけのボロい女で悪かったわね!!アタシがあんたとメアリーさんの結婚を止めたのはアタシよ!!アタシのことがにくいのであれば、衣服を破るなりナイフでからだを切り裂くなり、焼くなり、食うなりしなさいよ!!」
「ああ、そうしてやらァ!!だけど、それだけじゃあ腹の虫はおさまらねーのだよ!!」
「分かっているわよ!!それだけじゃあ気が済まないと言うのであれば、給料3ヶ月分で、婚約指輪が買えるくらいのおカネを手切れ金として出すわよ!!それでいいでしょ!!」

アタシはあいつに怒鳴りつけたあと、あいつがお望みの金額分を工面しに行った…

そして、次の日の朝6時過ぎのことであった…

アタシは、ホテルの従業員専用口であいつが来るのを待っていた…

約束より少し遅れて、あいつがやって来た…

「アリョーナ。」
「あんたのお望み分のおカネを用意したわよ!!」

マーティーさんは、アタシの言葉に対して『ありがとう…助かったよ。』と平然とした口調で言うて、茶封筒に入っている大金を受け取ろうとしていた…

しかし、アタシは怒り心頭になっていたのでマーティーさんの右手を平手打ちで激しく叩いたあと、こう言い返した…

「あんたね!!このおカネは何のおカネだと言うことを分かっていないみたいね!!このおカネは、売り子さん会社の社長さんにお願いをして、給料3ヶ月分のダイヤの指輪の金額分をバンス(給料の前借り)したのよ!!それによって、アタシは当分の間1セントもお給料がもらえないのよ!!分かっているのかしら!?」
「分かっているよ…今日のところはカネで許してやらぁ…」
「持って行きなさいよ!!アタシのことをつぎはぎだらけのボロい女だと言うのであれば、あんたの理想のきれいなからだのカノジョをみつけなさいよ!!アタシはあんたのことは一生うらみ通すから!!覚悟しておきなさいよ!!」

アタシは、あいつに思い切り怒鳴りつけた後、足早にホテルの中に逃げて行った…

アタシは、売り子さん会社の社長さんから給料3ヶ月分のダイヤの指輪の代金分をバンスしたので、売り子さん会社の日当は全額パーになってしまいました。

あいつはその間、会社の待遇面の不満を平気で口にするようになっていたので、社長さんはますます困り果てていた…

それから10日後の10月30日のことでありました。

あいつは、社長さんに出向か地方に転勤させてほしいとお願いをしていた…

しかし、社長さんはあいつに対して本社に残ってほしいので、最初に提示をした10ドルのお給料の上乗せ分とデリバリーランチをビッグマックにすることを受け入れてほしいと改めてあいつにお願いをしていた…

また、社長さんはあいつにアタシと結婚をしてほしいことを重ねてお願いをすることも含めてあいつを社長室に呼んだ…

けど、そこでまたひどい大ゲンカが起こってしまいました。

「マーティーさん、あれから私も考えたのだけどね…出向については、取引先の会社は出向社員を受け入れる考えはないことと、地方への転勤についても、マーティーさんには本社にいてほしいから転勤は考えていないのだよ…ここはひとつ、お給料の10ドル上乗せとデリバリーランチをつけることを受け入れてくれないかな…マーティーさん…この通りだよ…首をたてにふってくれないかなぁ…」

あいつは、社長さんの言葉に対して『断る!!』と言った後、社長さんを怒らせる言葉をぶつけていた…

「社長!!ぼくをこの会社に入れたのは誰なのでしょうか!?ぼくは大学を卒業するときに、やっとやりたいことが見つかったのに、どうしてこの会社に入れたのですか!?ぼくは、この会社しか働くところがないのかよ!?」
「マーティーさん…マーティーさん!!どうしてそんなことを言うのだね!?そんなにわが社で働くのがイヤなのか!?」
「やかましいのだよ!!ボケ社長!!オレをこの会社へ入れたいきさつも言えないのかよ!!」「マーティーさんをこの会社に入れたのは、マーティーさんのお父さまと約束をしていたから入れたのだよ!!」
「だから、テメーが言う約束と言うのはなんなのかいえよ!!」
「私とマーティーさんのお父さまは、アメリカ軍にいて、ベトナム戦争の時に一緒に戦った戦友なのだよ!!私が生命の危機にひんしていた時にマーティーさんのお父さまに助けられたのだよ!!マーティーさんのお父さまは命の恩人なのだよ!!他にもいろいろとお世話になったのだよ!!私のおいやめいの学校の入学祝に学習机を贈ってくださったりするなどしていたから、恩返しをしなくてはならなかったのだよ!!」
「そのことがあるから本社にいろと言うのか!?」
「何を言っているのだよ!!マーティーさんは本社では必要な戦力だから、本社に残ってほしいとお願いをしているのだよ!!」
「断る!!本社に残ってほしいとひとことめに言った!!ふたことめみことめには、父に恩義があると言った!!何なのだよ!?それじゃあ一体!!ぼくは一生本社で飼い殺しになるのかよ!?ふざけるなよ虫ケラ以下のクソ野郎!!」

社長さんは、あいつが言うた言葉を聞いてあきれた表情になっていた…

「マーティーさん…マーティーさんを一人前に育てて下さったのは誰なのかをもう忘れたのだね…もう分かった…もういい…出て行け!!」

社長さんは、あいつにこう言った後奥の部屋に入ってしまった…

あいつは、とうとう次の日の朝、会社を勝手に休んでしまった…

社長さんはこの時、気持ちを取り乱してしどろもどろになっていた…

社長さんは、アタシがバイトをしているドラッグストアにやって来て、あいつがどこへ行ったのかしらないかとたずねていた…

アタシは社長さんに『知らないわよ!!』と言うてから、社長さんにこう言うた…

アタシはこの時、陳列ケースに新しい商品をならべる作業をしていた…

「社長さん!!アタシはね!!思い切り怒っているのよ!!あいつは、メアリーさんとの結婚をアタシが止めたからカネを出せとすごまれたのよ!!だからアタシ、売り子さん会社のお給料をバンスして、あいつに渡したのよ!!昨日もあいつはアタシにカネのムシンに来たわよ!!アタシ、このままシカゴにいたらあいつに押さえつけられてしまうのよ!!助けてよ!!」

アタシの言葉を聞いた社長さんは、アタシにこう言うた…

「アリョーナさん、マーティーさんのことはみんなワシが悪いのだよ…16年間本社にいて、文句ひとつも言わずにもくもくと働いていたので、助かっているのだよぉ…マーティーさんには本社にいてほしいのだよ…」
「そのように思うのだったら、マーティーさんのお給料を50ドルに上乗せしなさいよ!!10ドル上乗せとデリバリーランチと言うけれども、それで差し引いた分は結局差し引き0で金額は一緒じゃないのよ!!」
「そんなことはないよ…10ドル上乗せとデリバリーランチで給与計算をしてみたらね、きちんと手当て分は残るようになっているのだよぉ…」
「ウソばっかり!!あんたね!!キレイゴトばかりを言っておいて!!結局は従業員さんのお給料をピンはねしてフトコロへ隠しているのでしょ!?何とか言いなさいよ!!」
「アリョーナさん、それはあんまりだよ!!」
「やかましいわねピンハネバカ経営者!!あんたが従業員さんたちのお給料のピンはねを繰り返してばかりいたらどうなるのか分かっているのかしら!?あいつはあんたの理不尽な対応でどれだけつらい思いをしているのか分かっていないみたいね!!それよりも、アタシはこのままシカゴにいたら、あいつに殺されてしまうのよ!!あいつを何とかしなさいよ!!」
「アリョーナさん…」
「あのね!!アタシはね!!今バイト中なのよ!!ひとの職場へ土足で上がり込んで来てバイトのジャマをするのであれば店長を呼ぶわよ!!」

アタシは、社長さんに思い切り怒鳴った後、奥の部屋に逃げて行った…

アタシはこの時、アメリカ社会で生きて行くことに限界を感じていた…

このままシカゴにいれば、あいつにカネをたかられて、無一文になってしまう…

アタシは、早くアメリカ合衆国本土から出国したい気持ちでいっぱいになっていた…
< 16 / 19 >

この作品をシェア

pagetop