【放浪恋愛】アリョーナの旅路~ソッフィオーネを鳴らすまで
第17話
2014年11月30日のことであった…

アタシは、1ヶ月かけて売り子さん会社からバンスをしていた2000ドルを返すことができました。

売り子さん会社でのバイトといつものバイトで稼いだ分に加えて、シカゴ郊外と周辺のゴルフ場数ヶ所でキャディのバイトをしたり、男性雑誌のヌードモデルなどをして、2050ドルを稼いで、バンスをした分を返した…

アタシの手持ちに50ドルが残りましたが、貯蓄も極力減少をしていたので、苦しい状況は続いていました。

その一方で、あいつは会社を無断欠勤したあと、家出をしてしまった…

あいつは、両親と一緒に今後の人生のことについて話し合いをしていたけれど、あいつが『ふざけるな!!』と両親に怒鳴り散らした…

それを聞いたお父さまは、あいつに『出て行け!!』と怒鳴ったので、あいつは怒って家を飛び出してしまった…

アタシはこの時、アメリカ社会で生きて行くことに限界を感じていたので、クリスマス休暇の期間が始まる前日までに出国することを決意した…

12月1日のことであった…

街は、クリスマスカラーに染まっていた…

街は、色とりどりのイルミネーションがきらめいていた…

商店では、クリスマスの準備の買い物を楽しんでいる家族連れでにぎわっていた…

アタシはこの日、体調を崩していたので、バイトを休んでいた…

アタシは、ひとりぼっちでジャクソンパークにある公園のベンチに座って、ぼんやりと考え事をしていた…

アタシは…

どうして、あいつと出会ったのかな…

アタシは…

なにをする目的で、渡米をしたのか…

父親が決めた結婚相手とのエンダンをホゴにして…

ボストンバックと赤茶色のバッグを持って、シベリア鉄道に乗って、旅に出た…

けれども…

結局は…

逃げて、逃げて、逃げて、逃げて…

逃げ回るだけ逃げまくっていた…

幸せ探しをすると言って…

ハバロフスクを飛び出した、ほんとうの目的は…

何だったのだろうか…

そんな時でありました。

ボストンからエレンがアタシのことを心配して、シカゴにやって来ました。

エレンは、切迫つまった声でアタシに手紙が届いていると言いました。

「アリョーナ、アリョーナたいへんよ!!」
「エレン。」
「アリョーナ!!ハバロフスクの実家の親類から手紙が送られて来たわよ!!」
「手紙…」
「とにかく読んでみてよ!!」

アタシは、エレンから受け取ったロシア文字で書かれているエアメールの封書を手にとった…

しかし、アタシは封を開ける手を途中で止めた…

「アリョーナ、早く手紙を読んでみて。」
「えっ?」
「早く読んでみてよ!!」

アタシは、エレンの言うとおりに封を開けてみた…

封から取り出した便せん3枚を開いた時、インクのにおいがただよっていた…

アタシは、便せんを開いて、手紙を読んで見た…

内容は、おばからアタシに宛てられた手紙であった…

それによると、ハバロフスクの実家の貿易商が多額の赤字を出した上に、サイムフリコウにおちいってしまった…

父は、書き置きを残して家出をして行方不明になった後に、アムール川の河川敷の公園で亡くなった…

一緒に同居をしていたアタシのいとこ夫婦は、いとこの嫁さんがいとこの弟とかけおちをして行方不明になった…

いとこはシングルの弟に妻を取られたことに腹を立てて、弟の婚約者を暴行して殺したあと、行方不明になってしまった…

父と別居状態になっている母は、持病の心臓病が悪化をしたので、ウラジオストク市内の大規模病院に入院中である…

ハバロフスクの実家は、抵当に入っていることも手紙に書かれていたので、アタシは本当に帰る家をなくてしまった…

エレンは、手紙を読み終えたアタシにこう言いました。

「アリョーナ…帰ってあげなよ…離ればなれになっているお母さんは、アリョーナに会いたがっているみたいよ…今ならまだ引き返せるわよ…アリョーナってば…」
「エレン。」

アタシは、エレンからの呼びかけで気持ちが変わったので、ウラジオストクへ行くことを決めた…

父が亡くなり、父と別居中の母が大病でウラジオストクの大規模病院に入院中の上に、次兄夫婦は妻の実家へ転がり込んだ…

アタシは、赤茶色のバッグの中から通帳を取り出して預金残高を見てみた…

この時、預金残高は700ドルしかなかった…

アタシは、このままでは終わることはできないと思っていたので、再び怒りのホコサキをあいつの家へ向けていた…

そして、9日後の12月10日のことであった…

この日の夜、あいつがエバンストンにあるパブで、店の女性の従業員さんのことをめぐって他の客の男と大ゲンカになっていた…

あいつは、客の男に刃渡りの鋭いナイフで一撃を喰らったあと、すぐに亡くなった…

あいつを殺した男は、刃物を捨てて現場から逃走をしたあと行方不明になっていた…

それから2日後のことであった…

エバンストンにあるあいつの家では、親族のみなさまがたくさん集まっていた…

親族のみなさまは、あいつが亡くなったことを悲しんでいた…

そんな中で、アタシはあいつの家にやって来た…

あいつには、死亡時に支払われる保険金が5000万ドルであることが分かったので、保険金をたかる目的でやって来た…

マーティーさんの両親がマーティーさんの生保の証書を持っていたけど、すでに現金に換えられていた…

アタシは、その場で5000万ドルを出せとあいつらをゆすりに行った…

「アンタたち!!アタシはマーティーのクソッタレ野郎からカネをたかられ続けていたのでブチ切れているのよ!!あんたらはマーティーのクソッタレ野郎を庇護(かば)い続ける気でいるみたいだから、クソッタレ野郎の生保の保険金5000万ドルを制裁金としてアタシに出しなさいよ!!」
「アリョーナさん、お許しください…マーティーがしたことは全部私たちの責任です…マーティーがしたことについては、わしらの責任なんだ…マーティーを許してくれ…」
「5000万ドルは私たちの老後の暮らしのお金として使いたいのです…お願いです…5000万ドルだけは…」
「キーッ!!許さないわよ!!カネが払えないと言うのであれば、アタシにも考えがあるわよ!!」

アタシはこの時、あいつの家中を探し回って、金目のものをあさりまわっていた…

その結果、マーティーさんの家の土地の権利書が見つかったので、アタシは家の権利書をたかってやった…

「アリョーナさん、それだけはやめてください…家の権利書だけは…」
「ふざけるな!!あんたたちのクソッタレ野郎がアタシを思い切り押さえつけたのだから、アタシは思い切り怒っているのよ!!差し押さえた権利書をカネに換えて、制裁金にするから…覚悟しておきなさい!!」

アタシは、マーティーさんの家の権利書を奪い取った後、すぐに現金に換えた…

そして、ボストンバックと赤茶色のバッグを持ってシカゴから逃げ出しました。

シカゴから逃げ出してから10日後の12月20日のことでありました。

アタシは、西海岸へ行くことを断念して、極東ロシアへ引き返すことにしました。

アタシは、ボストンの港から再び大西洋を渡ってヨーロッパへ向かっていた…

アメリカ社会で、女ひとりが生きて行くことのむずかしさを思い知ったアタシは、生まれ故郷に帰って、母の看病をすることを選んだ…

何としてでも、1月7日と8日のロシア正教のクリスマスまでにはウラジオストクにたどり着きたい…

母の看病をしてあげたい…

アタシはこの時、恋人を作って結婚をすることをあきらめて、親孝行をしようと思っていました。

いつになれば…

ウェディングベルを鳴らす日が来るのでしょうか…

いつになれば…

アタシは幸せになれるのでしょうか…

【第2部・おわり】
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