あたしを知らないキミへ

６ 噂

あれから一週間が経った。
別にあたしの周りで変わったことなんて特に何もない。

あ、でも最近は電車の車両を変えた。
1両目だったのを2両目に変えた。
たまに駅で見かけるアンタを見るのが辛くて、なるべく視界に入らないようにアンタを遠ざけた。

そして、美麗先輩・・。

幸い美麗先輩とは朝乗る電車が一緒だったけど学校より一つ手前の駅で乗って来る先輩は、アイツと電車で会うことはなかったから、それが唯一の救いだった。

きっとあの2人を目の前にしたら、今のあたしなら耐えられないから。
2両目の車両も1両目と同じように空いていた。

「恵美加！おはよ」
「おはよ」