あたしを知らないキミへ
カンカンカンカン・・・

しばらくして電車がきた。

今までは、アンタが見えないように2両目に乗っていたのに、いつの間にかあたしは1両目の3番目の車両に乗っていた。

アンタはいつも立って携帯をいじっているのに、今日は空いている椅子に座った。
意外とアンタが座るところを見たのは、今日が初めてだった。
アンタは携帯をいじらずに窓の外に向かって頬杖をつきながら、ぼんやり外を眺めていたんだ。

初めて見るその光景に、なぜかあたしの目から涙がじわじわと浮かんでくるのが分かった。
そして、次第に視界が霞んで見える。
涙の雫が、後少しで零れ落ちそうになった時、あたしはすぐに涙を払った。
窓の外を眺めているアンタは、どことなく小さな子供のようだった。

「好きだよ・・どうしようもないくらい・・」
届かない想いを、あたしは心の中でアンタに呟くんだ。
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