あたしを知らないキミへ

学校に着いて、あたしは教室の扉を開けた。
朋美はもういて、いつもだったら朝は必ず鏡を持って、メイク直しをしているのに、今日の朋美はなぜかどこか遠く窓の外を眺めていた。

「おはよ」
「・・・」
朋美は、あたしに気づいていないのか、まだ窓の外を眺めている。
「朋美!」
「へっ?!あ、びっくりしたぁ~。恵美加、おはよ!」
朋美は、驚いたようにあたしを見た。

「朋美に限って似合わないじゃん。窓の外なんかぼんやり見てさ。実際ボーっとしてるし。なんかあった?」
「ううん!何もないよ!窓の外はたまたまだよ~。あたしにもそんなゆっくりした時間ってのもあるの!」

そして、朋美はいつもの笑みを浮かべた。
「そっか」
そして、あたしは自分の席に着いた。
< 259 / 388 >

この作品をシェア

pagetop