幼な妻だって一生懸命なんです!


「座ってて。お茶でも入れるわ」

「遅くに、ごめんなさい」

祖母が何も聞かないのは、何か気がついているのだろう。
昔からそうだった。
祖母は私が話し出すまで、何も聞かずにただそばにいてくれた。
これまではそれに甘えていたけれど、私はもう大人だ。
自分で解決しなくてはいけない。

祖母の好きなダージリンティ。
茶葉は「Sweet Time Tea」オリジナルのものだった。
やぱり社長の話は真実なのだろう。
祖母の家に来たのは久しぶりなのに、私のマグカップを大切に保管してくれていたのだろう。
高校生の頃から使っている馴染みのカップに、いい香りのダージリンティが注がれた。

「どうぞ」

「ありがとう」

いつもならストレートティを勧めてくるが、カップには温めてあったミルクが入っていて、それに紅茶が注がれたためミルクティーになる。

「お砂糖は?」

「少し」

「寝る前に、ちゃんと歯磨きするのよ」

子供の時と同じ扱いに、胸が温かくなる。
ティーカップを両手で包み、少しずつ紅茶をすすると、気持ちが落ち着いていく。
祖母も一緒に飲むのかと思っていてのだけれど

「もう私は寝るから、みーちゃんもそれを飲んだらお風呂に入って寝るのよ」

何もなかったかのように寝室に行ってしまったのだ。
祖母に会ったら、聞きたいことがたくさんあった。
私の結婚のこと、社長のこと。
祖母はどこまで知っていたのか。
私はこれからどうしたら良いのか。

考えてもまだ答えが出そうもないので祖母の言う通りにお風呂に入る。
お風呂は適温になっていた。
着替えも用意されていて、幼少から泊まりに来ていた時に使っていた部屋には布団が敷いてあった。

祖母は私が来ることをお見通しだったんだ。
きっと連絡がきていたんだろう。
要さんから?社長から?
私の行動は単純ってことなんだろうな。
簡単に読まれてしまうんだ。

もっと、要さんと歳が近かったら良かったのに。
年齢の差だけが自分の幼さだと思い、どうにもならないのに自己嫌悪に陥った。

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