クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「頭、思いきりぶつけていましたよね」
頭をぶつけた俺を、心配してくれたんだろう。
「ありがとうございます。いつものことなので、大丈夫です」
俺がお礼を言うと、彼女が頬を赤らめなにか言いたげにもじもじしはじめる。
その様子に気付いた俺はわざと壁をつくるように背を向けた。
変に好意をもたれると面倒だからだ。
学生時代から跳びぬけて背が高く勉強も運動もできた俺は、異性から注目されるのに慣れていた。
何人かの女性と交際に発展したけれど、世間にあふれる映画やドラマのような心浮き立つ感覚はまったくなかった。
恋愛に夢中になれず勉強や部活に熱中していると、付き合ってから数か月後『恵介は別に私を好きじゃないんでしょう?』と愛想をつかされ振られるのがお決まりのパターンだった。