クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「無責任すぎる」
話を聞いた部長は、顔をしかめつぶやいた。
そして私の肩から手を離し「痛いか?」とたずねてきた。
その問いかけに不思議に思いながら彼の視線の先を追う。
部長が見ているのは私の手首だった。
そこにはまだくっきりと桑井さんの指の跡が残っていた。
「だ、大丈夫です、これくらい……」
首を横に振りながらも、力任せに腕をつかまれ自由を奪われていた恐怖が生々しくよみがえる。
南部長が来てくれたからよかったけれど、もしあのままふたりきりだったらどうなっていたんだろう。
考えただけで寒気がした。
「怖かっただろ」
そう言われたとたん、はりつめていた緊張の糸が切れたように体から力が抜けた。
さっきまではひとりで立っていられたはずなのに、がくがくと膝が震えだす。
一気に酔いがまわったのか、頭がくらくらしはじめた。